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『八戸市の国際交流事業』

 八戸市 総合政策部 市民連携推進課 課長

 佐々木 結子

 八戸市は青森県の南東部に位置し、人口約23万人です。平成が終わり、新たな元号が始まる2019年には市制施行90周年を迎えます。昭和4年(1929年)、当時の3町1村が合併し八戸市となってから10年後の昭和14年(1939年)、商港第1期工事が完成し、開港となるので、八戸港開港80周年でもあります。以来、「海から拓け、海とともにある八戸」として、全国有数の水産業都市、北東北随一の工業都市として発展してきました。

 八戸は、太平洋から多大な恩恵を受けて発展してきましたが、東日本大震災では、津波が甚大な被害をもたらしました。しかし、その時に流出した大久喜漁港の神社の鳥居の笠木が、約2年の歳月を経てアメリカ・オレゴン州へ漂着。ここから、多くの奇跡とオレゴン州ポートランドの人々の思いやりが、笠木の返還と鳥居再建へとつながり、「オレゴンの奇跡」として両国の人々の心に残る物語となるのですが、これに着想を得たオレゴン州アストリア市のコロンビア川海事博物館と共同で「ミニボート・プログラム」を2017年に続き、2018年も実施することになるのです。このプログラムには、大久喜漁港に近い小学校が3校参加し、市教育委員会、大久喜地区の方々、南浜漁協の方々も、みんながミニボートの行方を見守っています。

 また、太平洋の対岸、ワシントン州には姉妹都市フェデラルウェイ市があり、2018年には姉妹都市提携25周年を迎えました。そこで私達はこれを記念し、市民交流写真展の開催を企画しました。姉妹都市となって25年も経つとはいえ、実際にフェデラルウェイから八戸市を訪れたことのある人は数が限られます。改めて八戸市を知って欲しいと思い、写真の力を借りることにしました。百聞は一見に如かずです。写真はプロに頼らず、「フェデラルウェイ市民に紹介したい、八戸の土地に息づくスピリット(精神)」をテーマに一般市民から公募しました。豊かな自然、独特な祭り文化、産業を支える工場群の風景などに加え、人々の何気ない日常の一コマなど八戸に暮らす人々の人生の営みや命の躍動を写し取った写真を、「Hachinohe and Federal Way Sister City 25th Anniversary Photo Exhibit “Hidden Gems”」としてフェデラルウェイ市で展示しました。シアトルの日本領事館が情報発信してくれたこともあり、写真展は反響を呼び、かつて八戸市で活躍したALT(外国語指導助手)達も訪れてくれました。この交流写真展の様子はインスタグラムで発信されていますが、このサイトはこれからCIR(国際交流員)の手によって、八戸の「今」を発信していくポートへと発展していきます。

 八戸の港湾部には、全国でも有数の規模の造船所があります。もとは日本屈指の漁業基地・八戸漁港の需要を背景とした遠洋漁業用の漁船の製造を主としていましたが、現在は世界需要を背景に、ケミカルタンカーや冷凍運搬船がメインになっています。そこでは、中国からやってきた技能実習生達が、200名近くも活躍しています。

 八戸市市民連携課国際交流グループでは、八戸国際交流協会事務局の事務も行っています。協会では、多くのボランティアスタッフの協力のもと、外国人のための日本語講座や防災教室の運営、市民との交流促進事業など幅広く行っています。造船業に限らず水産業も含め、八戸の産業振興において、今や外国人を抜きには考えられない状況です。外国人と働くこと、ともに社会の一員として暮らすことが当たり前の社会、そして、自然に交流できるように環境を整えていくのが私達の仕事です。

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