留学生の声

日本留学随想

八戸工業大学大学院 工学研究科 
機械・生物化学工学専攻 3年

馬 東建(中国)

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 三年前を思い起こせば、私はまだ中国の西北の地にある故郷にいて、吹雪の舞う極寒の冬、留学のため期待と落ち着かない気持ちでいっぱいだったが、今この時になってみると、もうすでに日本での勉強も三年目になっている。間もなく帰国の楽しみが近づくと同時にこの三年の留学生活の懐かしさが次々と思い起こされ、複雑な心境である。

 三年の間、先生は学問には厳しく、人には温和で私には得るものが多かった。日本の友人の善意、親切心はこの異国で学ぶ学生にさらに温かく感じられ、心を強く打たれた。

 実験室では、先生や学友と共に夜も日も過ごし、辛いことや失敗もあったが、あきらめずに続けた。バスケットボール、綱引きの試合でも私たちは気持ちを一つにして協力し、先を争う姿が見られた。友人と共に杯を傾け、駄弁り、それでも語り尽くせない場面もあり、そこには私たちの厚い気持ちが内に秘められている……。様々な日本の美食、美酒もなかなか捨てがたい。

 記憶の中のものは、そのどれもが皆美しく温かい場面である。太平洋の西岸、蕪島のうみねこ、弘前公園のお堀の満開の桜の咲く幻想的な小道や、京都、奈良に伝えられた千年の時を経た古刹は一衣帯水の日中両国の交流の長さを感じさせ、また、夏の江の島のやさしい清風と波の音。八工大キャンパスの四季の景色も-----春の絢爛咲き乱れる花々、夏の濃い緑、秋の紅葉、冬の静寂と純白は何と回想に尽きないことか。

 

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