留学生の声

私の日本留学

弘前大学 人文社会科学研究科1年

朴 歓(中国)

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 弘前に来てから二週間ぐらいのことである。手続きのことでバスに乗って行こうと思って、チューターから大学正門の前にバス停があることを教えてもらった。正門にはたくさんの学生がいた。そこで一緒に待っていたらすぐバスが来た。弘前では初めてのバス体験だったのでなんか不安になって、バスに乗る前に運転手さんに「◯◯に行きますか」と聞いたら、「◯◯に行きますか?はい、行きます」という返事があった。バスに乗ってしばらくしたら運転手さんの声が聞こえた「◯◯ですよー」。運転手さんに挨拶してバスを降りた。その後、なんかおかしいと思いながら(そういえばそのバスには運賃箱がなかった)そのバスをみたら、「モータースクール」という大きい字が目に入った(その時は、それが何を意味しているのか分からなかったので、辞書で調べてみた)。運転手さんは見知らぬ女の子を助けてくれたのである。弘前に来て一年、初めての一人暮らしになれるまで、その運転手さんのように助けてくれる優しい人たちがまわりにいたから、いまの私がいるのではないかと思う。

 私が留学先として日本を選んだ理由は2つある。ひとつは大学3年生のとき、日本のウェブサイトを見て、NGOが海外ボランティア活動で、発展途上国の十分な教育をうけることができない子供達に資金や物品、教育機会の提供、地域開発事業等の活動をしていることを知ったことだ。この記事を読んで、将来、自分もボランティアの一員として活躍したいと思った。二つ目は、異文化共生のあり方について学びたいと思ったからである。私は中国生まれだが小学校時代は韓国で過ごした。その頃から異文化接触を経験し、異文化排斥も経験した。その後、異文化共生に興味を持つようになり、日本の大学院で人類学を学ぶことを決めた。私は中国で日本語を修めたが、日本において自分の言語能力を鍛えなおし、さらに社会調査法を含む基礎知識・技術を学びたいと思っている。

 弘前大学に入学してから、留学生向けのイベント(世代間国際交流、ねぷた祭)や、地域広報プロモーションへの出演、花火大会のボランティアなどに積極的に参加している。その他には「ハングル会」という日本人を対象とした韓国語サークルにも参加している(当初、青森県国際交流協会が行ったことがきっかけで結成された韓国人の留学生が日本人に韓国語を教える会である)。イベントに参加することは、単に地域の日本人と留学生、留学生と留学生が触れ合うことではなく、互いの違いを受け取ることで「間違いではなく、違い」ということを体験できることに気づいた。

 弘前の美しい風景、人々の優しさ、新しい出会いなど、そのすべてが一生忘れられない思い出になることには間違いない。留学先として弘前を選んで本当によかったと思っている。

 

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