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北里大学獣医学部の国際交流
-学部50周年を迎えるにあたって-

北里大学 獣医学部長

髙井 伸二

 北里大学獣医学部は昭和41年4月、青森県十和田市に、北里大学の3番目の学部として畜産学部が設立されて以来、平成28年4月には満50周年を迎えます。当時、入学定員100名(畜産学科70名・獣医学科30名)の学部として設置されましたが、昭和56年4月には畜産土木工学科を創設し、獣医学教育6年制の修士積み上げ教育から昭和59年には獣医学6年制一貫教育となり、獣医畜産学部に名称変更、更に、平成19年には獣医学部(獣医学科120名・動物資源科学科120名・生物環境科学科80名)に改組し、獣医学科は5,776名、動物資源科学科は4,496名、生物環境科学科は3,051名、合計13,323名の卒業生を輩出して参りました。

 十和田キャンパスにおける国際化の歴史を振り返ってみますと、1989年(平成元年)に長春農牧大学(中国吉林省長春市)との間に学術交流協定を締結したのが最初で、大学設置後23年目でした。両大学間からの特別交換研究員(教員)と視察団の派遣が中心の交流で、中国からの特別交換研究員(1年間)の総数は10数名となり、本学からも5名が短期派遣され、その学術協定の目的を十分に果たしました。また、中国・長春農牧大学における5年生を対象とした夏期研修も実施しましたが、現在は休止しております。

 1993年(平成5年)に獣医学科国際交流検討委員会が発足し、米国の28獣医大学との国際交流の交渉を開始、1994年には5つの大学の実地調査を実施し、学部創設29年目の1995年(平成7年)に、ジョージア大学獣医学部、テネシー大学獣医学部、パーデュー大学獣医学部の3大学との国際学術交流協定を締結しました。これにより米国3大学夏期研修事業として獣医学科5年生(各大学8名と同行教員1名)が夏休み期間に2週間の病院実習に参加するプログラムが開始、同時に、米国3大学からも臨床系教員を中心に各大学毎年1名を約1週間の短期招聘し、十和田キャンパスでの講義・セミナーを開催しております。この事業は本年で21年目を迎え、派遣学生総数461名、同行教員63名、米国3大学からの招聘教員49名、米国3大学からの研修学生4名となりました。学生に最も人気のある海外研修事業となっております。本学卒業後、ジョージア大学とパーデュー大学の2大学の大学院博士課程に進学し、学位取得後、米国大学の教員として活躍している卒業生もおります。

 これまで散発的に海外国費留学生の受入はありましたが、2006年からタイ・マハナコン工科大学獣医学部の教員を本学・獣医学系研究科博士課程に引き受けることとなり、これまでに5名が学位を取得しました。マハナコン工科大学を中心としたアジアの大学から7名の留学生が本学博士課程に在学しております。アジアの大学との国際交流は、中国・長春大学以外に、タイのマハナコン工科大学並びに韓国・建国大学との学術協定を学部創設46年目の2012年に締結しました。これまでの国際交流活動を振り返りますと、本学50年の教育・研究活動の成長を垣間見ることができ、国際交流活動は大学の発展と貢献に不可欠であることが今更ながら再確認できました。

 

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