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留学生活って青森中央学院大学 学長 中村信吾 |
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四十年ほど前、筆者は幸いに米国に留学する機会をもった。ドル360円時代の話である。「留学生活は、外から自分の国を見ることができ、見聞を広くする機会でもあり、その後の人生おいて、広い視野を持ち、新しい考え方を理解するのに大きな力になる。この経験は常に変化する世の動きや異文化理解に強力な武器になる。留学先では、どんどん現地の生活に溶け込むように。また日本人とつきあうより留学先の人達とつきあうように。その方が会話能力が早く身につく。」との数々のアドバイスを出発直前に受けた。 留学生活といっても、大学院生や学部学生としてあるいは研究を主体としての形などいろいろあろう。青森中央学院大学(以下本学と称す)は学部学生としての留学生が多い。入学前に日本語能力状況の試験もある。入学してからは日本人学生だって専門課程に進むと専門用語に悩まされるのだから留学生の苦労は大変である。大学院では本学からの進学者が多いので日本語にあまり不自由さは感じないようである。とはいうものの、どこの言語でも同じように、話す日本語能力と書く日本語能力とはまた異なる。論文を書くとなるとまだまだ多くの教員の不満を耳にする。 平成21年5月1日現在で本学の留学生は総在籍学生の2割強を占める。留学生に対する学生寮の設備は整っており入学当初はほとんどの留学生がこの寮に入る。これが本当に留学生にとってよいのか疑問に思う時もある。というのは日本に来てからも同国人とばかりつきあうようになり、受け入れ側にも問題があろうが日本人の友人ができない留学生もいる。問題がある。時が解決するが、留学先での同国人とのつきあいというのは一考する必要がある。異国での当初の不安さもあろうがインターネットの時代だぞといいたい。 留学生が青森県の農林水産業や地域文化への理解を深め、あわよくば母国において青森を第二の故郷としてPRしてくれることを目的とする「青森サポーター事業」と名付けた企画を、本学はあおもりくらしの総合研究所と連携して行っている。留学生に主に農水産業に関係した作業体験やイベント参加など体験的な学習を地域の人たちの協力を得て、工業先進国の中の農水産業の実態を体験の中から学ぶのである。まだ値段がついていないホタテや品質世界一のりんごをふんだんに食す機会でもある。参加者の評判は上々である。 本学は昨年開学拾周年を迎えた若い大学である。他大学の優れた国際交流例を参考に新しい交流の仕方を模索している。世界は狭くなりつつあるとの言葉をよく聞くが、世界中に、見知らぬ風土と習慣、見知らぬ人々と考え方、見知らぬ歴史がたくさんある。留学生活とは、その見知らぬ世界への門戸を開くのに必要な鍵を作っているのかもしれない。
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