青森県の国際交流について

青森県商工労働部　国際交流推進課長

高坂　進

　今回の寄稿では留学生はじめ「あそさ」読者の皆様に、青森県が何を目指して、どのような国際交流に取り組んでいるかをご紹介し、本県の国際交流施策に対する御理解と御支援をいただきたいと思います。

　県ではこれまで四つの友好提携先、ブラジル・サンタカタリーナ州、ロシア・ハバロフスク地方、アメリカ・メーン州、イタリア・リグーリア州との国際交流事業を中心に、海外移住者の支援、海外技術研修員の受入れなどの国際協力事業を行ってきました。

　しかし今、時代の変化とともに地域の国際化と経済のグローバル化が進展し、地方自治体が行う交流も友好親善交流から、経済分野を含めた国際交流への転換が求められています。このような社会･経済環境の変化を踏まえ、昨年度本県ではそれまでの海外産業経済交流推進チームと国際課の一部を統合し、経済分野を含む国際交流に一体的に取り組むため、国際交流推進課を商工労働部に設置しました。

　また、県では、２０３０年の青森県の姿を思い描き、これを実現するための計画として、２００８年１２月「青森県基本計画～未来への挑戦～」を策定しました。この計画では、仕事づくりと所得の向上を目指す産業・雇用分野の政策の一つとして、「県外・海外との取引拡大」を掲げ、国内外とのビジネス展開を推進していくこととしています。教育、人づくりの分野では「あおもりの未来をつくる人財の育成」と「あおもりの今をつくる人財の育成」を掲げ、広い視野を身につけ国内外で活躍する人材を育成するとともに、本県在住の外国人が県民と共に生きていく多文化共生の地域づくりを推進することとしています。

　このため県では、これまでの友好親善交流の成果を踏まえながら、海外との取引やビジネスの拡大を積極的に推進する国際経済交流の新たな展開を行うこととしています。具体的には、近隣の中国、台湾や定期便が就航している韓国などのアジア、極東ロシアをはじめとする地域を対象とした現地市場調査、海外取引に関するセミナーの開催、海外交易会・見本市への出展支援、農林水産物やその加工品等の海外販売支援等により、県内企業等の販路拡大を推進しており、その結果県内企業の新たな海外ビジネスがいくつか実現し始めています。また、国際観光の分野では、国のビジット・ジャパン・キャンペーンと連動し近隣道県と連携しながら、韓国、台湾、香港等において、海外メディアや外国語版ホームページを活用し、りんごやねぶたなど魅力ある青森県の観光情報を発信し、外国人観光客の誘客促進に努めています。特に県内唯一の国際線である青森－ソウル便が運航している韓国については、観光客は勿論のこと、安定的な利用が期待されるビジネス客についても利用促進を図っていきたいと考えています。

　県としてはこのような取り組みによって、人口減少による規模縮小を余儀なくされる国内市場に比して、より拡大･成長が見込まれる海外市場から外貨を獲得するとともに、地域内の産業連関を強化し、獲得した外貨を原資とした域内市場産業における循環を増大させることによって、自立的な経済構造の確立、延いては県民一人ひとりの経済的基盤の確立（生業(なりわい)づくり）を目指しています。

　また、多文化共生の地域づくりについては、在住外国人を対象とする日本語教室の開催や、県内在住外国人向けのフォーラム、在住外国人に災害情報を提供するためのパンフレットやHPの作成など、順次多文化共生の環境整備を進めています。

　皆さまには、このような青森県の文化と経済の両面にわたる国際交流への取組みとそのねらいに関心を持っていただき、様々な場面でご支援を頂ければ幸いです。